こんにちは。misato です。
私は採用担当の経験があり、今でもリクルーターとして活動している大手メーカー勤務の社員です。
元採用担当者の経験上、やはり企業研究を熱心にやっていただけた方の志望動機、この会社で実現したいことにはグッと心を掴まれます。
その方が活躍するイメージもつきやすく、一緒に働いてみたいと思えるからです。
つまり企業研究を制する者は合格への可能性が一段高くなります。
企業研究のやり方について詳しく書いていますのでよかったらこちらも参考にしてください。
こちらでは採用担当者の視点で企業研究をしてわかったその会社のポイントを書いております。
今回は乳業メーカーの中でも人気のある「雪印メグミルク株式会社(以下、雪印メグミルク)」の企業研究です。
雪印メグミルクへ転職、就活をご検討中のみなさんの参考になれば幸いです。
基本情報
まずは雪印メグミルクの基本情報です。
社名 | 雪印メグミルク株式会社 |
創業 | 2009年 |
本社所在地 | 東京都新宿区四谷本塩町5番1号 |
従業員数(単体) | 3,144名 |
平均年齢 | 40.0歳 |
平均勤続年数 | 14.5年 |
平均年収 | 712万円 |
(2020年3月時点の情報です)
雪印メグミルクは2009年に雪印乳業株式会社と日本ミルクコミュニティ株式会社が経営統合し誕生した会社です。
業績推移
雪印メグミルクの直近5年間の業績の推移についてみていきましょう。
売上高
売上高は右肩上がりに伸びていることがわかりますね。
2018年度には6,000億円を突破し、そこからも順調に増収を続けています。
直近の通期決算の前年比は102%と好調です。
この5年間での売上伸長率も106%と好調がつづいています。
営業利益
営業利益に関しては年によって少しバラつきがあり、売上の上昇に利益は比例していないということがわかります。
直近通期決算の前年比は104%と好調なことがわかります。
この5年間で利益は約1.3倍になっています。
営業利益率は2.9%と、同じ乳業業界の競合である森永乳業(4.3%)と比較するとやや低いです。
事業内容
まずはざっくり、どういう事業がどういう規模を占めているかみていきましょう。
最も売上高の構成比が大きいのは市乳事業、2位は乳製品事業となり、この2つを合わせると約9割に達します。
つづいて営業利益の構成もみていきます。
売上とは逆転して、最も利益の構成比が高いのは乳製品事業、2位以下に市乳事業、飼料・種苗事業とつづきます。
改めて売上高、営業利益、営業利益額の一覧です。
売上 | 営業利益 | 営業利益率 | |
乳製品 | 2,490億円 | 115億円 | 4.6% |
市乳 | 2,839億円 | 52億円 | 1.8% |
飼料・種苗 | 437億円 | 10億円 | 2.3% |
その他 | 366億円 | 1億円 | 0.3% |
(ホームページをもとに作成)
※利益調整額は除いて構成比を算出しています。
市乳事業は売上の半分近くを占める部門にも関わらず、利益の貢献は3割弱となっており、今後の利益改善が求められますね。
・最も売上の貢献が高いのは市乳事業
・最も利益の貢献が高いのは乳製品事業
・最も利益率の貢献が高いのも乳製品事業
これらのポイントを頭に入れた上で、事業の詳細について確認していきましょう。
乳製品事業
こちらにはバターやマーガリン、チーズなどの売上が含まれます。
代表商品は下記の通りです。
「雪印北海道バター」
「ネオソフト」
「6Pチーズ」
「さけるチーズ」
乳製品事業は雪印メグミルクの強みのひとつであり、数多くのロングセラーブランドを有し、各カテゴリーでトップシェアを占めています。
ニュートリション事業
ニュートリション事業には粉ミルクや機能性表示食品の売上が含まれます。
代表商品は下記の通りです。
「ぴゅあ」(粉ミルク)
「毎日骨ケア MBP®」(特定保健用食品)
全社売上の3%程度の構成比しかない事業なのでまだ売上としては小さいですが、今後健康ニーズの拡大によっては成長が見込まれる事業です。
※ニュートリション事業の売上自体は乳製品事業に含まれています。
市乳事業
市乳事業には牛乳やヨーグルト、チルドデザートなどの売上が含まれます。
代表商品は下記の通りです。
「雪印メグミルク牛乳」
「ナチュレ恵みmgumi」
「ガセリ菌SP株ヨーグルト」
最大の売上を占める事業ですが、収益性は低い事業です。
※市乳事業の収益性向上についてはこちらのページの「今後のキーワード」のところで詳しく書いています。
飼料・種苗事業
飼料・種苗事業には家畜の飼料や種苗(牧草・飼料作物・野菜)などの売上がこちらに含まれます。
雪印メグミルクの決算説明会資料では飼料事業の収益性を上げること、高品質化を目標として掲げています。
しかし、今後酪農家が減少していく中でどのようにこの事業をハンドリングしていくのかについては注目していきたいところですね。
またこちらの事業は天災や気象状況の影響を大きく受ける(天候が荒れる→良質な飼料確保ができない→業績悪化)ので、個人的には今後どのようにリスク管理していくのか気になります。
海外事業
雪印メグミルクは海外事業の売上を公表しておりませんが、現在チーズおよび粉ミルクの海外展開を進めているようです。
チーズはオーストラリアやインドネシア、台湾に拠点を有しています。
インドネシアの拠点から、シンガポールやタイ、マレーシアへのチーズ輸出を拡大し
ていくことを公表しています。
雪印メグミルクの強み
私が考える雪印メグミルクの強みは以下の2点です。
乳製品で多数のトップシェア
雪印メグミルクはバター、マーガリン、チーズの市場において、国内シェア1位です。
ロングセラーのブランドを数多く有しているので、乳製品事業の営業利益率は4.6%と効率的に利益を稼ぐことができています。
商品開発力の高さ
みなさんは最近雪印メグミルクが発売した「乳酸菌ヘルベ」というヨーグルトをご存知でしょうか?
こちらはヨーグルトで初めて「目や鼻の不快感を緩和する」機能を持った機能性表示食品として話題です。
他にも雪印メグミルクは「内臓脂肪を減らすのを助ける」特定保健用食品「ガセリ菌SP株ヨーグルト」も販売しています。
このように雪印メグミルクは消費者の「困った」「改善したい」というニーズをしっかりとらえ商品化することが上手な会社だと個人的には思います。
消費者の「困った」の度合いが高ければ高いほど、またその商品が世になければなおさら、商品は爆発的に売れる可能性が高くなります。
今後のキーワード
雪印メグミルクが今後目指すべき方向性を中期経営計画から抜粋しています。
会社の目指す方向性を理解した上で、自分の能力・やりたいことをからめて説明できると面接はうまくいきます。
家庭用バターの生産・販売拡大
雪印メグミルクが約3割のトップシェアを占めるバターの分野でさらなる生産・販売の拡大を目指しています。
2020年には老朽化している北海道の主力工場を刷新し、200億円の設備投資を実施、バターの増産体制を整備する計画です。
バターの食べ方提案を積極的に行っていくことで国内消費量を増やし、今後さらなるバターの売上・利益の拡大を目指します。
より強いところをより強くする戦略ですね。
市乳事業の収益性向上
現状赤字である市乳事業は2026年度末までに黒字化を目指し構造改革を実行します。
黒字化に向けて雪印メグミルクが実行することは以下2点です。
・キャップ付き容器の導入
(内容量を減らし、実質価格を上げます)
・名古屋工場を閉鎖し豊橋工場へ生産を集約
牛乳事業は明治も黒字化を目指すことを発表しています。
その他
雪印メグミルクは2020年4月から新しい中期経営計画を発表しています。
3年後の2025年度の目標は下記の通りです。
・売上高:6,400億円
・営業利益:220億円
・営業利益率:3.4%
これらが雪印メグミルクの今後の重点戦略となります。
さいごに
いかがでしたか?
雪印メグミルクの事業内容や強み、今後の戦略について研究しました。
個人的な就職・転職おすすめ度は
★★★★☆
・乳製品でトップシェアを占めており安定的な売上が見込める。
・消費者ニーズを取り入れた商品開発力。
・海外事業のさらなる加速が課題。
雪印メグミルクは国内のバター、マーガリンなどの市場でNo.1のメーカーであり、今後も国内市場で新たな食シーンを創造、売上を伸ばしていく戦略であることがわかりました。
また最近は消費者の健康志向ニーズを取り込み、機能性表示食品などの「ニュートリション」事業の商品開発強化を行っています。
海外事業に関してはまだあまり情報を開示していないため詳細はわかりかねるのですが、チーズのボーダーレス化は今後も進んでいくと思います。
雪印メグミルクの強み×自分の強みをうまくアピールしてみてくださいね!
応援しています!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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