こんにちは。misato です。
私は採用担当の経験があり、今でもリクルーターとして活動している大手メーカー勤務の社員です。
元採用担当者の経験上、やはり企業研究を熱心にやっていただけた方の志望動機、この会社で実現したいことにはグッと心を掴まれます。
その方が活躍するイメージもつきやすく、一緒に働いてみたいと思えるからです。
つまり企業研究を制する者は合格への可能性が一段高くなります。
企業研究のやり方について詳しく書いていますのでよかったらこちらも参考にしてください。
こちらでは採用担当者の視点で企業研究をしてわかったその会社のポイントを書いております。
今回は乳業メーカーの中でも人気のある「森永乳業株式会社(以下、森永乳業)」の企業研究です。
森永乳業へ転職、就活をご検討中のみなさんの参考になれば幸いです。
基本情報
まずは森永乳業の基本情報です。
社名 | 森永乳業株式会社 |
創業 | 1917年 |
本社所在地 | 東京都港区芝5丁目33番1号 |
従業員数(単体) | 3,340名 |
平均年齢 | 38.5歳 |
平均勤続年数 | 15.3年 |
平均年収 | 744万円 |
(2020年3月時点の情報です)
森永乳業は森永製菓との合併分離を経過して、1949年現在の森永乳業が設立されました。
森永製菓とは全くの別会社で、採用選考も別ですし、人材の交流もないそうです。
何度か経営統合の報道も出ていますが、現時点での統合は両社ともに否定しています。
業績推移
森永乳業の直近5年間の業績の推移についてみていきましょう。
売上高
売上高は6,000億円前後で安定していることがわります。
直近の通期決算の前年比は101%と好調です。
この5年間で売上高は98%と不調ですが、これは不採算品の削減によるものだそうで、売上は下がっていますが利益には大きく貢献しています。
営業利益
営業利益に関しては右肩上がりに上昇していることがわかります。
直近の通期決算の前年比は114%と大きく伸長しています。
この5年間で利益は約1.7倍になっています。
売上の推移は横ばいの中で営業利益額を着実に伸ばしているため、営業利益率の改善が目覚ましいです。
営業利益率は4.3%と、同じ乳業業界の競合である雪印メグミルク(2.9%)よりも高いです。
事業内容
まずはざっくり、どういう事業がどういう規模を占めているかみていきましょう。
食品事業はいわゆるヨーグルトや乳飲料などの製造販売、「その他事業」というのは飼料・プラント設備の設計施行などのことです。
食品事業が事業の大部分を占めていることがわかります。
つづいて営業利益も合わせてみていきます。
売上 | 営業利益 | 営業利益率 | |
食品事業 | 5,720億円 | 293億円 | 5.1% |
その他事業 | 270億円 | 23億円 | 8.5% |
※利益調整額は除いて構成比を算出しています。
その他事業は利益の額としては小さいですが、営業利益率ではメインの食品事業よりも高いことがわかります。
つづいて「食品事業」内の部門別の構成比をみていきましょう。
最も売上高の構成比が高いのはBtoC事業、2位以下にBtoB事業、その他事業とつづきます。
つづいて営業利益の構成比です。
最も利益の構成比が高いのもBtoC事業、2位以下はBtoB事業、ウェルネス事業とつづきます。
改めて売上高、営業利益、営業利益率の一覧です。
売上 | 営業利益 | 営業利益率 | |
BtoB事業 | 969億円 | 58億円 | 6.0% |
海外事業 | 289億円 | 16億円 | 5.4% |
ウェルネス事業 | 491億円 | 31億円 | 6.3% |
BtoC事業 | 3,107億円 | 105億円 | 3.4% |
その他 | 979億円 | 13億円 | 1.4% |
(ホームページをもとに作成)
※利益調整額は除いて構成比を算出しています。
最も売上・利益額が大きいBtoC事業は営業利益率の面では他の事業より低いということがわかります。
・最も売上の貢献が高いのはBtoC事業
・最も利益の貢献が高いのもBtoC事業
・最も利益率の貢献が高いのもウェルネス事業
これらのポイントを頭に入れた上で、事業の詳細について確認していきましょう。
BtoC事業
BtoC事業にはにはチルドカップ飲料やアイスクリーム、乳製品などの売上が含まれています。
代表商品は下記の通りです。
「マウントレーニア」
「ピノ」
「ビヒダス」
▼最近ではヨーグルト業界初の便秘気味の方の便通を改善するヨーグルトを発売しています。
BtoC事業の売上をさらに細かく分解してみます。
最も売上高の構成比が高いのは牛乳、2位以下にヨーグルト、アイスクリームがつづきます。
改めて売上高の一覧です。
カテゴリー | 売上高 |
牛乳 | 529億円 |
ヨーグルト | 510億円 |
アイスクリーム | 452億円 |
チルドカップ飲料 | 398億円 |
チーズ | 333億円 |
市乳(宅配など) | 214億円 |
チルド紅茶 | 156億円 |
デザート | 110億円 |
(ホームページをもとに作成)
BtoC事業は最も売上も利益も高い、森永乳業の主柱の事業です。
BtoB事業
BtoB事業は主に業務用商品の売上が含まれます。
具体的に申し上げると、ケーキ屋へ生クリームなどの乳原料を卸していたり、ビフィズス菌やラクトフェリンなどの機能性素材を各社メーカーに卸していたりします。
一般消費者向けではなく、企業向けの商品展開もしているということですね。
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BtoB事業は営業利益率が6.0%と収益性の高い事業です。
海外事業
森永乳業はエリア別の海外事業の売上を公表しておりません。
しかし19年1月に開催された事業説明会の資料によると、子会社であるドイツのミライ社が海外事業売上の過半数を占めているようです。
ミライ社ではホエイや乳製品の製造販売を行っています。
その他地域での展開は下記の通りです。
・パキスタン、インドネシアなど:乳幼児向け粉ミルク
・米国:豆腐、ヨーグルトなど
・中国:ヨーグルト、プリンなど
▼森永乳業が豆腐とは意外な感じがしますね。
海外売上高比率は5%、9年後の2028年度には15%を目指すと発表しています。
ウェルネス事業
ウェルネス事業には育児用ミルク、サプリメント、子会社のクリニコが展開している流動食や介護食などの売上が含まれます。
代表商品は下記の通りです。
「森永はぐぐみ」
「ラクトフェリンプラス」通販限定サプリメント
ウェルネス事業は最も収益性が高い事業ですし、健康志向の高まりの中ではさらなる成長が見込める事業ですね。
森永乳業の強み
私が考える森永乳業の強みは以下の2点です。
おいしさと機能性を兼ね備えた商品開発力
森永乳業は乳で培った技術を活かし、ビフィズス菌、ラクトフェリン、シールド乳酸菌®といった独自素材を活かした商品開発を強化しています。
加えてBtoB事業でも独自素材を取り扱い、他企業にも積極的に拡売をしています。
健康志向が高まっている今、今後もさらなる売上・利益の拡大が見込まれます。
海外事業の収益性
乳業メーカーの多くはまだ国内事業に軸足を置き、海外事業は赤字もしくはわずかな利益しか稼ぐことができていない会社が多いです。
そのような環境下で森永乳業は既に海外事業で収益を出すことに成功しており、海外事業の営業利益率は5.4%と、全社平均の営業利益率4.3%よりも高い収益力があります。
(つまりはBtoC事業の収益力強化という点にも同時に取り組んでいかなくてはならないということに繋がりますが)
今後のキーワード
森永乳業が今後目指すべき方向性を中期経営計画から抜粋しています。
会社の目指す方向性を理解した上で、自分の能力・やりたいことをからめて説明できると面接はうまくいきます。
BtoC事業の収益性改善
先ほど森永乳業の強みのところでも触れましたが、BtoC事業は売上構成比が最も高いが、収益性は低いという特徴を持っています。
そこで森永乳業ではこの課題を解決するため基幹ブランドを選定し、これらの価値を最大化することで収益性の改善に取り組んでいきます。
8つの基幹ブランドは下記の通りです。
「マウントレーニア」
「ビヒダス」
「森永アロエヨーグルト」
「パルテノ」
「パルム」
「ピノ」
「モウ」
「フレッシュモッツァレラ」
赤字の牛乳事業は2022年度の黒字化を目指し、高付加価値商品の展開強化、生産体制の合理化(近畿工場、東京工場の生産中止)を進めています。
現在各乳業メーカーは牛乳黒字化に向けて取り組んでいます。
明治は2020年度下期、雪印メグミルクも2026年度に黒字化を目指すことを発表しています。
ビフィズス菌・独自素材の展開加速
森永乳業はビフィズス菌やラクトフェリンなどの独自素材を多数有しています。
特にビフィズス菌研究においてはパイオニアであり、今後設備投資も行いさらなる売上、利益の拡大を目指しています。
腸内環境を整えることの重要性がうたわれている中では、こちらの事業へさらなる注目が集まっていくかもしれません。
その他
森永乳業は2019年4月から新しい中期経営計画を発表しています。
3年後の2021年度の目標は下記の通りです。
・売上高:6,300億円
・営業利益:300億円
・営業利益率:4.8%
部門別にもメリハリをつけて海外事業やウェルネス事業の売上、利益はより強く伸ばすことを、BtoC事業では利益率の改善に注力して取り組んでいくようです。
これらが森永乳業の今後の重点戦略となります。
▼乳業業界についてこちらも読まれています。
さいごに
いかがでしたか?
森永乳業の事業内容や強み、今後の戦略について研究しました。
個人的な就職・転職おすすめ度は
★★★★☆
・基幹8ブランド集中による国内収益性改善が見込める。
・ドイツのミライ社を中心とした海外事業の成長性。
・BtoC事業(特に牛乳事業)の収益性改善が課題。
森永乳業はビフィズス菌やラクトフェリンなどの独自素材を活かして国内、海外ともに商品展開の強化を図り、さらなる売上、利益の拡大を目指す戦略であることがわかりました。
今後少子高齢化が進んでいく中でますます消費者の健康ニーズは高まっていくことが予想されますし、これらの独自素材は間違いなく森永乳業の財産になると思います。
森永乳業の強み×自分の強みをうまくアピールしてみてくださいね!
応援しています!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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