こんにちは。misato です。
今回は食品業界の中でも乳業に焦点を当て「乳業業界の動向/今後の課題と展望」をテーマに書いていきたいと思います。
グラフなどを用いてわかりやすく解説していきます。
▼こちらの記事はこのような方におすすめの記事です。
❶乳業メーカーへの就職・転職をお考えの方
❷乳業業界の特徴について知りたい方
❸乳業メーカーの今後の課題と中長期的な戦略について知りたい方
私は大手メーカーに勤務しています。
自分が属する業界に限らず、色んな業界の統計資料からその業界の課題や展望について考察しています。
今回はみなさんにとっても身近な食品である牛乳やヨーグルト、チーズなどの消費動向について、乳業メーカーの展望と合わせて解説していきます。
乳業メーカーへの就職、転職を考えている方の業界研究として役立てていただけると嬉しいです!
ちなみに他人と差がつく業界研究のやり方についてはこちらの記事でご紹介しています。
乳業業界の現状、乳業メーカーのビジネスモデルを正しく理解して、自身の志望業界として適切か否か考えてみてくださいね。
乳業業界の市場規模
みなさんは乳業業界はどのくらいの規模があるかご存知ですか?
国内乳業業界の市場規模は2兆7,734億円があります。
(出典:経済産業省「工業統計調査」処理牛乳・乳飲料製造業+乳製品製造業(処理牛乳、乳飲料を除く)従業者4人以上の事業所 製造品出荷額等)
直近5年間の乳業業界の市場規模推移です。
乳業業界の市場規模は2015年頃から盛り上がっていることがわかりますね。
この5年間で市場は約1.1倍になっています。
カテゴリー別の消費動向
2015年頃から乳業業界は伸長していることがわかりました。
ここからは「乳業業界伸長に貢献したカテゴリーは何か?」ということに焦点を当ててみていきたいと思います。
Jミルク「酪農乳業参考データ-家計調査による牛乳価格の推移」のデータをもとにカテゴリー別の消費動向を確認していきます。
牛乳
牛乳の支出金額は年々縮小→直近は横ばいで推移しています。
直近2019年の支出金額 前年比は101%と微増。
2019年の支出金額は2004年比で77%と大きく減少していることがわかります。
ヨーグルト
ヨーグルトの支出金額は2010年頃から大きく上昇→直近は横ばいで推移しています。
直近2019年の支出金額 前年比は100%と前年並みです。
2019年の支出金額は2004年比で約1.6倍になっていることがわかります。
チーズ
チーズの支出金額は年々上昇しています。
直近2019年の支出金額 前年比は103%と好調。
2019年の支出金額は2004年比で約2倍になっていることがわかります。
バター
バターの支出金額も年々上昇しています。
直近2019年の支出金額 前年比は105%と好調。
2019年の支出金額は2004年比で約1.6倍になっていることがわかります。
・牛乳の消費量は年々縮小→現在横ばい
・ヨーグルトは2010年頃から大きく上昇→現在横ばい
・チーズ、バターは年々上昇中
これら消費動向のポイントを頭の中で整理した上で、乳業業界の現状と課題に対する戦略についてみていきましょう。
乳業業界の現状
これまでみてきてわかる通り、「乳業業界伸長に貢献したカテゴリーは何か?」についての回答としては、チーズ、バター、ヨーグルトが貢献しているということがわかります。
一方牛乳は支出金額が年々縮小しています。
それぞれのカテゴリーの好不調要因を整理してみましょう。
牛乳
牛乳の不調要因としては下記のポイントが挙げられます。
・他飲料、他製品との競合
(牛乳以外に栄養価の高い商品が増え、選択肢が増えた)
ヨーグルト
ヨーグルトの好調要因としては下記のポイントが挙げられます。
・健康志向ニーズの取り込み(プロバイオティクス拡大)
・高付加価値化、商品数増
・2019年の各社値上げ
チーズ
チーズの好調要因としては下記のポイントが挙げられます。
・健康志向ニーズの取り込み(TVの健康番組影響)
・堅調な家飲み需要
・2018年の各社値上げ
バター
バターの好調要因としては下記のポイントが挙げられます。
・健康志向ニーズの取り込み(TVの健康番組影響)
・トランス脂肪酸報道でマーガリンは低迷、バターへのスイッチ
・2017年の各社値上げ
乳業各社の戦略
基本的に縮小傾向の牛乳は収益改善を、伸びているヨーグルト、チーズ、バターは強化をテーマに取り組んでいます。
牛乳
現在牛乳事業は各社にとって赤字事業です。
なぜならば、牛乳はスーパーの目玉商品として特売されることが多く、利益が取りづらい構造になっているためです。
日本の酪農家は後継者不足や輸入飼料の高騰などで経営が厳しく廃業が相次いでいます。
その結果、酪農家からメーカーへ売り渡す生乳(牛乳の原料)の価格は年々上昇を続けています。
2019年各社牛乳の値上げを行いましたが、それでも赤字です。
各社牛乳事業の赤字脱却を掲げ、商品企画の見直し(内容量を減らす)や生産体制の効率化、高付加価値化に取り組んでいます。
各社の目標とする黒字化のタイミングは下記の通りです。
・明治
2020年度下期
・森永乳業
2022年度
・雪印メグミルク
2026年度
ヨーグルト、チーズ、バター
需要が堅調なヨーグルト、チーズ、バターについては高付加価値化や多様な食シーンの提案を行うなどの取組みでさらなる拡大を目指します。
今後TPPやEPAの発効により、輸入品が安価に入手できるようになります。
各社さらなるブランド力の強化が必要になってきます。
▼乳業業界についてはこちらも読まれています
さいごに
いかがでしたか?
乳業業界の現状と課題について整理をしてきました。
健康志向ニーズの取り込みにより、まだまだヨーグルトは伸長余地があるのではないかと個人的には思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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<参考資料>
3.酪農乳業参考データ | 一般社団法人Jミルク Japan Dairy Association (J-milk)