こんにちは。misato です。
今回は「乳業業界の大手4社 明治・雪印メグミルク・森永乳業・ヤクルトの比較」をテーマに書いていきたいと思います。
グラフを用いながらわかりやすく解説していきます。
▼こちらの記事はこのような方におすすめです。
❶乳業メーカーへの就職・転職をお考えの方
❷乳業メーカーのランキングに興味のある方
❸乳業業界の特徴について知りたい方
私は大手メーカーに勤務しています。
メーカーでのマーケティング、広報IRの経験を活かして、いろいろな業界の市場規模や各社メーカーの戦略を分析しています。
業界研究のやり方についてはこちらに詳しく書いていますのでよかったらこちらも参考にしてください。
こちらのページの最後に各社の詳細な企業研究(各社の売上規模や強み、今後の戦略などをまとめたもの)へのリンクも貼っています。
どうぞ最後までお付き合いください!
はじめに
今回比較する会社は以下4社です。
・明治ホールディングス株式会社(以下、明治)
・雪印メグミルク株式会社(以下、雪印メグミルク)
・森永乳業株式会社(以下、森永乳業)
・株式会社ヤクルト本社(以下、ヤクルト)
▼こちらの記事に関する注意事項
*各社最新決算期の数値でランキングを作成しています。
*時価総額のみ執筆日当日の数値です。
*4社とも会計基準は日本基準です。
売上高
まずは売上高のランキングからみていきましょう。
最も売上高が高いのは明治、2位以下に雪印メグミルク、森永乳業とつづきます。
明治は2位の雪印メグミルクの約2倍の規模があります。
雪印メグミルクと森永乳業はほぼ同等、ヤクルトが最下位という結果でした。
1位の明治は最下位のヤクルトの約3倍の規模があります。
乳業事業だけの売上高でみてみると?
明治は乳業事業だけでなく、チョコレートやグミといった菓子なども展開している会社です。
そこで会社全体の売上ではなく、乳業事業だけを取り出してランキングを作成してみました。
下記事業の数値を抜き出して作成。
・森永乳業:食品事業
・雪印メグミルク:乳製品、市乳事業
・明治:発酵デイリー、加工食品事業
・ヤクルト:飲料・食品(国内)、飲料・食品(海外)事業
売上高が最も高いのは森永乳業、2位以下に雪印メグミルク、明治、ヤクルトとつづきます。
明治は菓子や栄養事業(粉ミルクやプロテインパウダーなど)の構成比が3割強あるため、乳業事業だけで比較すると3位という結果になりました。
営業利益
つづいて営業利益のランキングです。
利益では1位が明治ということは変わらないのですが、売上高では最下位だったヤクルトが2位に躍り出ます。
明治はヤクルトの約2倍の規模があります。
最下位の雪印メグミルクは1位の明治の約5分の1の利益しか稼ぎ出していないことになります。
営業利益率
売上高に占める営業利益に割合を示す営業利益率のランキングです。
少ない売上で効率的に利益を生み出しているヤクルトが1位という結果になりました。
2位以下に明治、森永乳業、雪印メグミルクとつづきます。
雪印メグミルクは売上高では2位ですが、収益性という面では少し課題があります。
売上原価率
各社の特徴を探るため、コスト構造も分解していきます。
売上原価率とは売上高のうち、売上原価(売れた商品の仕入れや製造にかかった費用)の割合を示す比率のことです。
売上原価率は低い方がより少ないコストで効率的に利益を生み出せるようになります。
売上原価率では最も低いのはヤクルト、2位以下に明治、森永乳業とつづきます。
扱っている商品や展開エリアが異なるので一概に比較することはできませんが、大きな傾向としては下記の通り読み解くことができます。
乳業業界と言っても、ヤクルトは他の3社とは異なり乳酸菌飲料「ヤクルト」をメインに展開しています。
明治、雪印メグミルク、森永乳業がメインで取り扱っている牛乳事業は現在赤字の事業で、各社黒字化を目指しています。
つまり、「ヤクルト」は牛乳より原価構造が良いと読み解くことができます。
販管費率
販管費率とは売上高のうち、販管費(販売費や広告宣伝費、運賃など)の割合を示す比率のことです。
販管費率は低い方がより少ないコストで効率的に利益を生み出せるようになります。
販管費率は売上原価率と1位と最下位の順位が逆転し、1位が雪印メグミルクという結果になりました。
販売促進費率
販管費の中身は各社で公表している内容が異なりますので、一概に比較することは難しいです。
そこで各社が共通で公表している数値である販売促進費でランキングを作成してみました。
販売促進費とは小売業者への販売促進費(リベート)や消費者キャンペーンなどにかかるコストのことです。
メーカーはこれらを戦略的に使用することで、効率的・効果的に売上高を上げていきます。
※各社下記の数値を用いて算出しています(販売促進費は呼称が異なることがあります)
・雪印メグミルク:販売促進費
・明治:拡売費
・ヤクルト:販売促進助成費、販売手数料
・森永乳業:販売促進費
雪印メグミルクは少ない販売促進費で効率的に売り上げを上げているということになります。
研究開発費
メーカーにとって競争力の維持・向上するために必要な研究開発費についてもみていきましょう。
売上高のうち研究開発費が占める割合でランキングしています。
研究開発費に関しては明治とヤクルトが比較的多く投下、雪印メグミルクと森永乳業はおさえているという印象です。
日用品業界の比較では、花王とユニ・チャームが3.9%で同率1位でしたので、そちらと比較すると、乳業業界は売上高に占める研究開発費の割合はやや少なめという結果になりました。
海外売上高比率
つづいて海外売上高比率のランキングです。
メーカーは国内人口減少→国内需要減少という課題を抱えており、各社海外展開を強化しています。
※各社下記の数値を用いて算出しています。
・ヤクルト:分子の飲料・食品(海外)事業売上高はセグメント間売上高含む数値で算出
・森永乳業:分母は会社公表通り食品事業で算出
・明治:食品セグメント内のみの海外売上高比率(医薬品セグメント含まず)
雪印メグミルクは海外売上高比率を開示していませんのでランキングから除いています。
特にアジア・オセアニアでの展開が強いヤクルトが1位という結果になりました。
ヤクルトは海外でもヤクルトレディによる宅配販売を行っており、現在40の国と地域で展開をしています。
2位はドイツのミライ社を傘下に持つ森永乳業です。
▼森永乳業は北米でロングライフ(長期保存可能)豆腐を展開しています。
3位は北米、中国で展開を行っている明治です。
時価総額
つづいて執筆日当日の時価総額のランキングです。
時価総額とはその企業の企業価値を表す指標で、業績だけなく将来の成長に対する期待も大きいことを意味します。
営業利益の順位と変わらず、1位は明治、2位以下にヤクルト、森永乳業とつづきます。
ここで注目すべきポイントは、明治とヤクルトの営業利益額は約2倍の差があったのですが、ヤクルトの海外事業の強さ、今後の成長可能性により営業利益ほどの差がついていないということです。
平均年収
最後にみなさん気になる平均年収のランキングです。
平均年収も営業利益の順番と同様、1位が明治、2位以下にヤクルト、森永乳業とつづきます。
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さいごに
いかがでしたか?
乳業メーカーをさまざまな角度からランキングしてみました。
転職先、就職先を決める際、売上高のランキングだけではわからない部分もたくさんあるということがおわかりいただけたかと思います。
是非みなさんも色々な角度から企業を分析し、自分に合った会社を見つけてくださいね!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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