こんにちは。misato です。
私は採用担当の経験があり、今でもリクルーターとして活動している大手メーカー勤務の社員です。
元採用担当者の経験上、やはり企業研究を熱心にやっていただけた方の志望動機、この会社で実現したいことにはグッと心を掴まれます。
その方が活躍するイメージもつきやすく、一緒に働いてみたいと思えるからです。
つまり企業研究を制する者は合格への可能性が一段高くなります!
企業研究のやり方について詳しく書いていますのでよかったらこちらも参考にしてください。
こちらでは採用担当者の視点で企業研究をしてわかったその会社のポイントを書いています。
今回は「東洋水産株式会社(以下、東洋水産)」の企業研究です。
東洋水産へ就職、転職をご検討中のみなさんの参考になれば幸いです。
基本情報
まずは東洋水産の基本情報です。
社名 | 東洋水産株式会社 |
創業 | 1953年 |
本社所在地 | 東京都港区港南2丁目13番40号 |
従業員数(単体) | 2,253名 |
平均年齢 | 41.0歳 |
平均勤続年数 | 15.2年 |
平均年収 | 581万円 |
(2020年3月時点の情報です)
東洋水産は1953年に横須賀水産株式会社として築地市場内にて冷凍まぐろの輸出および国内水産物の取扱いを開始したことがルーツの会社です。
1962年にみなさんお馴染みの“マルちゃん”マークが誕生しています。
業績推移
東洋水産の直近5年間の業績推移についてみていきましょう。
売上高
売上高に関しては右肩上がりに成長していることがわかりますね。
直近通期決算における前年比は新型コロナウィルスの巣ごもり需要の影響もあり、104%と好調です。
この5年間での売上伸長率は109%と好調に推移しています。
営業利益
営業利益に関しては上がったり下がったりの波があります。
特に2018年度は米飯・フリーズドライ新工場稼働に伴う減価償却費の増加などにより利益を落としています。
その反動もあり、直近通期決算における営業利益の前年比は120%と大変好調です。
この5年間の伸長率は100%とフラットです。
営業利益率は6.8%と、同じ即席めん業界大手の日清食品(8.8%)と比較するとやや低いですね。
事業内容
まずはざっくり、どういう事業がどういう規模を占めているかみていきましょう。
最大の売上高は国内即席めん事業で、2位以下に海外即席めん事業、低温食品事業とつづきます。
つづいて利益も確認しましょう。
※利益調整額は除いて算出しています。
最も利益を生み出しているのは順位の変動があり海外即席めん事業、2位以下は国内即席めん事業、低温食品事業とつづきます。
改めて売上高、営業利益、営業利益率の一覧です。
売上 | 営業利益 | 営業利益率 | |
水産食品事業 | 299億円 | -7億円 | -2.2% |
海外即席めん事業 | 890億円 | 122億円 | 13.7% |
国内即席めん事業 | 1,333億円 | 111億円 | 8.3% |
低温食品事業 | 723億円 | 56億円 | 7.7% |
加工食品事業 | 242億円 | -13億円 | -5.4% |
冷蔵事業 | 205億円 | 13億円 | 6.1% |
その他事業 | 469億円 | 9億円 | 1.9% |
(ホームページをもとに作成)
残念ながら水産食品事業と加工食品事業は赤字です。
・最も売上の貢献が高いのは国内即席めん事業
・最も利益の貢献が高いのは海外即席めん事業
・最も利益率の貢献が高いのも海外即席めん事業
これらのポイントを頭に入れた上で、事業の詳細について確認していきましょう。
水産食品事業
水産食品事業にはコンビニエンスストアのおにぎり・お弁当、即席麺の具材などに使用されている水産加工食品の売上が含まれます。
魚価の高騰や競争激化により厳しい状況が続いている事業です。
直近通期決算では赤字の事業です。
海外即席めん事業
海外事業の売上がこちらに含まれています。
主な展開エリアは米国、メキシコ、中南米です。
1972年に米国現地法人マルチャン, INC.を設立し、即席めんを中心に販売を開始しました。
1977年から現地にて生産を開始し、現在では米国に4ヶ所の製造拠点を構えています。
海外子会社にマルチャンデメヒコ,S.A. deC.V.やマルチャン・ド・ブラジルなどがあります。
直近の海外事業における事業買収やトピックは下記の通りです。
・2012年7月
米国テキサス州にマルチャンテキサス,INC.を設立。
・2017年9月
ブラジルサンパウロ市にマルチャン・ド・ブラジルを設立。
海外売上高比率は21%です。
売上、利益ともに大きい東洋水産の主柱事業です。
国内即席めん事業
国内におけるカップ麺や袋めんの売上がこちらに含まれます。
代表商品は下記の通りです。
「赤いきつね」
「緑のたぬき」
「マルちゃん正麺」
「QTTA」
▼「赤いきつね」が東日本と西日本で味が違うのは有名な話ですよね。
最も売上が大きい事業です。
低温食品事業
低温食品事業には蒸し焼そば、生ラーメン、茹でうどん、冷凍麺などの売上が含まれます。
代表商品は下記の通りです。
「マルちゃん焼きそば」
「つるやかシリーズ」
加工食品事業
加工食品事業にはレトルト米飯、スープ、だしの素などの売上が含まれています。
代表商品は下記の通りです。
「あったかごはん」
「素材のチカラ たまごスープ」
▼水産加工技術を活かして「魚肉ソーセージ」も販売しています。
冷蔵事業
冷蔵事業では、国内外のさまざまな食品を冷凍・冷蔵保管するサービスを行っています。
東洋水産の強み
私が考える東洋水産の強みは下記2点です。
きめ細やかなエリア別マーケティング
先ほども「赤いきつね」は東日本と西日本で味が違うということに触れましたが、東洋水産は北海道から沖縄までそれぞれのエリア限定販売の商品が多い印象を受けました。
東洋水産の商品ページを見て驚いたのですが、商品検索の際になんと「エリア」を絞ることができます!
ちなみに「赤いきつね」は東日本と西日本の他に、関西限定・北海道限定も存在し、「赤いきつね」だけで4種類の味があることになります。
海外展開のさらなる可能性
先ほども触れた通り、東洋水産は米国、メキシコ、中南米を中心に海外展開を強化しています。
チャネル別の戦略強化、新製品の投入、ターゲットである若者向けのプロモーションを強化することでさらなる販売拡大を目指す計画です。
東洋水産の中長期戦略
東洋水産の今後の経営方針を有価証券報告書の【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】やホームページから抜粋しています。
会社の目指す方向性を理解した上で、自分の能力・実現したいことをからめて説明できるようになると面接は必ずうまくいきます。
需要を引き出す新たな価値創造
東洋水産では既存ブランドの強化はもちろんですが、技術開発と社会課題分析の融合による新たな価値の創造を目指しています。
例えば、時短・簡便といった社会課題を見据え、また酷暑への対応として、火を使わない調理や食べ方提案などの強化をしています。
▼即席めんの技術を活かしたフリーズドライ製法。簡便志向ニーズとマッチしさらなる成長が期待できます。
海外事業の深化
東洋水産は既に進出している米国、メキシコ、中南米の成長はもちろんですが、インドでの成長もさらに加速させていく計画です。
2014年には味の素と合弁会社マルちゃん味の素インド社を設立し、2016年から即席めんの製造、販売を開始しています。
さいごに
いかがでしたか?
東洋水産の事業内容や強み、今後の戦略について研究しました。
個人的な就職・転職おすすめ度は
★★★★☆
・きめ細やかなマーケティングで国内事業は安定。
・ブラジル、インドなど海外事業のさらなる拡大が見込める。
・赤字事業である水産事業の収益改善、選択と集中の必要性。
それでは東洋水産の強み×自分の強みをうまくアピールしてみてくださいね!
応援しています!
最後までお読みいただきありがとうございました。
▼ 最新記事をお知らせしています
参考資料