こんにちは。misato です。
私は採用担当の経験があり、今でもリクルーターとして活動している大手メーカー勤務の社員です。
元採用担当者の経験上、やはり企業研究を熱心にやっていただけた方の志望動機、この会社で実現したいことにはグッと心を掴まれます。
その方が活躍するイメージもつきやすく、一緒に働いてみたいと思えるからです。
つまり企業研究を制する者は合格への可能性が一段高くなります。
企業研究のやり方について詳しく書いていますのでよかったらこちらも参考にしてください。
こちらでは採用担当者の視点で企業研究をしてわかったその会社のポイントを書いております。
今回は乳酸菌飲料の圧倒的トップシェアを誇る「株式会社ヤクルト本社(以下、ヤクルト)」の企業研究です。
ヤクルトへ転職、就活をご検討中のみなさんの参考になれば幸いです。
基本情報
まずはヤクルトの基本情報です。
社名 | 株式会社ヤクルト本社 |
創業 | 1935年 |
本社所在地 | 東京都港区海岸1丁目10番30号 |
従業員数(単体) | 2,882名 |
平均年齢 | 42.1歳 |
平均勤続年数 | 18.3年 |
平均年収 | 780万円 |
(2020年3月時点の情報です)
ヤクルトは他のメーカーとは異なる独自の販売網を築いており、ヤクルトの商品を直接お客様へ宅配販売するというシステムを採用しています。
この宅配販売はヤクルトレディと呼ばれる社員が直接自宅や職場にヤクルトを届けてくれるというサービスです。
もちろんヤクルトはスーパーやコンビニでも商品を展開していますが、「ヤクルトレディ」とスーパーなどの「店舗販売」の販売比率は約半分ずつとなっています。(出典:ヤクルト2020年3月期決算短信補足説明資料より、乳製品数量ベース)
スーパーなどと同等数量を売り上げるとはヤクルトレディの活躍がうかがえますね。
業績推移
ヤクルトの直近5年間の業績の推移についてみていきましょう。
売上高
売上高は4,000億円前後で安定していることがわります。
直近の通期決算の前年比は100%と前年並みです。
この5年間の売上伸長率は104%と好調です。
営業利益
営業利益に関しては直近3年間右肩上がりに上昇しています。
直近の通期決算の前年比は100%と前年並みです。
この5年間での利益伸長率は114%と好調です。
営業利益率も11%を超え、比較的営業利益率がまだ低い乳業メーカーと比較すると稼ぐ力が非常に高いことがわかります。
【参考】各社営業利益率
・森永乳業 4.3%
・雪印メグミルク 2.9%
生乳を扱う乳業と、乳は乳でも乳酸菌飲料は収益性が異なるのですね。
他の乳業メーカーの企業研究もまとめておりますので、よかったらご覧ください。
事業内容
まずはざっくりとどういった事業がどの程度の規模を占めているのか把握しましょう。
売上高は食料・飲料の国内売上が約半分、海外売上が約4割と食料・飲料の売上が約9割を占めています。
わずか5%ではありますが、実はヤクルトは医薬品も展開しています。
つづいて営業利益も合わせてみていきます。
グラフをみると一目瞭然ですが、海外事業が利益の7割を稼ぎ出しています。
2位に国内事業、残念ながら医薬品事業は赤字です。
改めて売上高、営業利益、営業利益率の一覧です。
売上 | 営業利益 | 営業利益率 | |
飲料・食品(国内) |
2,094億円 | 182億円 | 8.7% |
飲料・食品(海外) |
1,790億円 | 445億円 | 24.9% |
医薬品 | 197億円 | -8億円 | -4.1% |
その他 | 229億円 | 20億円 | 8.9% |
(ホームページをもとに作成)
※利益調整額は除いて構成比を算出しています。
海外事業の営業利益の高さについては後ほど詳細を書いていきます。
・最も売上の貢献が高いのは飲料・食品(国内)事業
・最も利益の貢献が高いのは飲料・食品(海外)事業
・最も利益率の貢献が高いのも飲料・食品(海外)事業
これらのポイントを頭に入れた上で、事業の詳細について確認していきましょう。
飲料・食品(国内)
代表商品は誰もがご存知の「ヤクルト」ですね。
その他代表商品は下記の通りです。
「ジョア」
「ソフール」
「ミルミル」
「ミルミル」はビフィズス菌 BY株、それ以外の「ヤクルト」などは乳酸菌シロタ株が摂取できる商品です。
乳酸菌 シロタ株は生きたまま腸にとどき、腸内環境を改善するはたらきをもっています。(出典:ヤクルトホームページ)
ヤクルトは乳酸菌飲料国内シェア約6割のトップシェアブランドです。
ちなみに私はヤクルトの企業研究をするまで知らなかったのですが、なんとあの「タフマン」もヤクルトの商品でした。
飲料・食品(海外)
ヤクルトは海外では主に米州、アジア・オセアニア、ヨーロッパで展開しています。
展開商品はもちろん「ヤクルト」で、現地でもヤクルトレディが宅配販売をしているというから驚きです。
確かに乳酸菌飲料が当たり前ではない、初めて見る国においては、商品の良さや特徴を直接説明できるヤクルトレディの存在は貴重だと思います。
エリア別の構成比は下記の通りです。
最大の売上を稼いでいてるのがアジア・オセアニア、2位以下に米州、ヨーロッパとつづきます。
ヤクルトは「一人でも多くの人に健康を」という創始者の想いを世界に広げ、「ヤクルト」のグローバルブランド化を実直に進めています。
現在40の国と地域で「ヤクルト」の販売をしているそうです。
海外売上高比率は既に44%と非常に高く、今後もさらなる売上拡大が見込まれます。
医薬品事業
抗がん剤の「エルプラット」や「カンプト」が代表商品です。
薬価改定の影響を受け、2018年度から赤字の事業となっています。
その他事業
その他事業には化粧品やプロ野球興行の売上などが含まれます。
実はヤクルトは化粧品事業も行っているんですね。
代表商品は下記の通りです。
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乳酸菌由来の保湿成分を配合した化粧水。
美白スキンケア。
乳酸菌生まれのオリジナルの保湿成分を配合した化粧品を自社工場で製造し販売をしているそうです。
乳酸菌へのこだわりが感じられます。
ヤクルトの強み
私が考えるヤクルトの強みは以下の2点です。
プロバイオティクスのパイオニア
予防医学を実現し人々の健康に貢献するため、ヤクルトはさまざまな角度から研究開発を行っています。
その研究結果を食品や医薬品、化粧品にまで広げ、多くの消費者の健康につなげるための取組みを真摯に続けています。
ちなみに森永乳業は「ビフィズス菌のパイオニア」でしたね。
乳業メーカーは自身の強みをしっかりと持ち、それらを徹底的に研究、商品化できる点が優れていると言えます。
健康志向が高まっている今、こういった商品は今後もさらなる売上・利益の拡大が見込まれます。
海外事業の強さ
既に海外事業が全社売上高の約4割、営業利益では7割を稼ぎ出しており、ヤクルトの海外事業の規模、収益力は目を見張るものがあります。
私はヤクルトの海外事業の強さは現地生産・現地販売を基本とする「現地主義」でグローバル事業を展開している点にあると思います。
ヤクルトは地域に根差した生産・販売の拠点として事業所や工場を設け、現地社員を積極的に採用しています。
また何と言っても独自の販売システムであるヤクルトレディによる宅配も海外事業の強さを生み出す秘訣だと思います。
商品の良さを直接伝えられるメリットは非常に大きいと考えます。
今後のキーワード
ヤクルトが今後目指すべき方向性を「今後の経営展望について」から抜粋しています。
会社の目指す方向性を理解した上で、自分の能力・やりたいことをからめて説明できると面接はうまくいきます。
〔国内〕高付加価値商品の強化
国内では高付加価値商品の開発を強化していきます。
例えば直近の商品で申し上げると下記の商品を発売しています。
・ヤクルト1000
ヤクルトの歴史の中で最高密度・最高菌数の乳製品乳酸菌飲料。機能性表示食品。
・ヤクルト400W
プロバイオティクス(乳酸菌など)と一緒にプレバイオティクス(腸内の乳酸菌を増やすガラクトオリゴ糖など)を一緒に摂取することを謳った商品。
〔海外〕新規エリア拡大
海外では既に進出しているエリアの深掘りはもちろんですが、新規エリアの拡大も行っていきます。
中長期的には海外でも高付加価値ヤクルトの導入検討をしているそうです。
これらがヤクルトの今後の重点戦略となります。
さいごに
いかがでしたか?
ヤクルトの事業内容や強み、今後の戦略について研究しました。
個人的な就職・転職おすすめ度は
★★★★★
・圧倒的な市場シェアで今後も国内売上は安定。
・独自の販売網で海外もさらなる開拓が進む。
・国内高付加価値商品の拡大で収益性の改善がさらに進む。
ヤクルトはプロバイオティクスのパイオニアとして食品、医薬品、化粧品などの商品開発の強化を図り、さらなる売上、利益の拡大を目指す戦略であることがわかりました。
今後少子高齢化が進んでいく中でますます消費者の健康ニーズは高まっていくことが予想されますし、こだわり抜いた研究開発の成果は間違いなくヤクルトの財産になると思います。
海外事業に関しても既に多くのエリアで展開を行っており、「ヤクルト」のグローバルブランド化はますます進むことでしょう。
ヤクルトの強み×自分の強みをうまくアピールしてみてくださいね!
応援しています!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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