こんにちは。misato です。
今回はメーカーのマーケティング職における「商品開発のプロセス」をテーマに書いていきたいと思います。
具体的な例を挙げながらわかりやすく解説していきます。
▼こちらの記事はこのような方におすすめの記事です。
❶メーカーのマーケティング職(以下、マーケター)に興味がある方
❷マーケターの具体的な仕事内容を知りたい方
❸具体的な商品開発のプロセスについて知りたい方
私は大手メーカーでマーケティング(商品開発)を担当した経験があります。
実際の商品開発のプロセスには多くの部署、人との連携が不可欠です。
マーケターはそのブランド全体をマネジメントする責任と権限を持っていますので、全ての部署の動きを把握しながら適切な指示を出し、商品を世に送り出していきます。
こちらではメーカーの具体的な商品開発のプロセスについてご紹介しています。
マーケターの仕事の大枠をつかむためにはこちらの記事もおすすめです。
メーカーの商品開発プロセスを正しく理解して、あなたのスキルを活かせる職種かどうか考えてみてくださいね!
商品開発の大きな流れ
今回は実際の新商品開発にしぼって説明していきます。
既存ブランドの活性化についてはまた少しプロセスが異なりますのでお気を付けください。
ここからはこの世にまだない新商品、新ブランドの立ち上げをイメージして読んでください。
また、今回は食品メーカーを例に説明していきます。
まずは商品開発プロセスの大体の流れをつかみましょう。
具体的な商品開発プロセス
大体の流れがつかめたところで、詳細について説明していきます。
市場・ターゲット分析
まずは消費者のニーズはどこにあるのか、どの市場を狙って商品を発売していくかを検討します。
ある程度具体的なブランドで説明した方がわかりやすいので、今回はグリコの「リベラ」を例に説明していきます。
(※実際のグリコのマーケティングとは異なる場合があります。あくまで私の会社の例で書いていきます)
「リベラ」を知らない方のためにこの商品を簡単に説明すると、脂肪や糖の吸収を抑える機能性表示チョコレートです。
チョコレートが好き、でも脂肪や糖の吸収は抑えたいという女性のためにつくられたチョコレートです。
まずは市場の大きな流れについて
・チョコレートの市場規模はどの程度か?
・健康訴求チョコレートの市場規模は?
・アップトレンドorダウントレンドなのか?
・競合ではどのような商品が売れているのか?
さまざまな角度から情報を集めていきます。
そして実際の「リベラ」の開発経緯はどのようなものかわかりませんが、もし私がマーケターであればこのようなデータに着目します。
※私がイメージで作成したグラフです。実際のデータ、数値とは異なります。
・女性がチョコレートを食べる時に気になることの上位には糖や脂肪が入り、「チョコレートは食べたい、でも太りたくない」という女性のニーズがある。
▶糖や脂肪の吸収を抑えるチョコレートがあったら売れるのではないか?
・女性の就業率は年々上昇している。
▶オフィスでお菓子を食べる女性も増加中。
オフィスで手軽に食べられるようにこんな商品があったら売れるのではないか?
手につかない/小粒タイプ/パウチ包装で何度もリチャックできる/携帯しやすい
といったようにマーケターはお客様のニーズがどこにあるのかを探りながら、いくつも仮説を立てていきます。
こちらの際に決して忘れてはいけないのが競合分析です。
既に競合が市場に同じような商品を出している場合はその商品について徹底的に調べます。
競合品のスペックを上回る商品でなければ売れるわけがありませんし、それができないのであればその市場への進出は諦めるべきです。
また、今回はマーケター起点で書きましたが、研究所からあがってきたシーズをもとに市場分析を行い、商品化に至るケースもあります。
利益シミュレーション
よし、この市場・ターゲットで勝負しよう!と決めたら利益のシミュレーションをしていきます。
競合がいる場合は競合の価格をベンチマークしながら、顧客満足を実現する商品スペック(価格/内容量など)を決めていきます。
売上原価と販管費の説明はここで書くと長くなるのでまた別の機会に行いますが、売上・利益の目標を立て、そのためにどれだけのコスト(売上原価、販管費)をかけられるのかということをシミュレーションしていきます。
試作品づくり
利益シミュレーションをもとに研究所、生産部門へ試作品をつくってもらえるように指示を出します。
・研究所へ
「この原価でこんな品質(味や食感など)でつくって欲しい」
「リベラ」の場合は、糖と脂肪の吸収を抑える/小粒/手につかない/おいしいチョコレートというリクエストですね。
・生産部門へ
「この原価で量産できるラインを設計して欲しい」
「リベラ」の場合は、パウチ包装/個包装はせずに(1粒1粒は包まずに)/内容量は50gで量産化して欲しいというリクエストですね。
いずれも原価の目標を設定し、厳しく管理します。
加えてスケジュール管理もマーケターの大切な仕事のひとつなので、発売日から逆算してそれぞれの部門との調整を行っていきます。
研究所にここまでにサンプルを提出してもらって、この日には工場で製造テストを行って…といったような感じです。
研究所とは何度もサンプルを確認しながら求める味に近付けていきます。
時には工場での製造テストに立ち会いながら、自身が求めている品質と合致しているかどうかを確認しながら進めます。
ネーミング検討
品質確認と並行してその商品の名前を考えていきます。
ネーミングに関してはとにかくたくさんの案を出して、その商品を表す最適なひとつを選択します。
・手に取ってみたくなる名前か?
・記憶に残るか?
・商品特徴が一目で伝わるか?
・わかりやすいか?
ひとりで考えているとパンクするので、社内の人へアドバイスを求めることも多いです。
パッケージデザイン
デザイナーへ商品のコンセプトやスペック、デザインのイメージを伝えデザインをおこしてもらいます。
「パケ買い」と言われる言葉もあるように、パッケージデザインは商品を購入する動機として大変重要です。
ターゲットの心を動かすようなデザインを目指し細部までこだわります。
こちらもひとりで考えるというよりも、多くの方にアドバイスをいただきながら最終決定をしていくことが多いです。
消費者モニター調査
ある程度できあがったパッケージや品質、内容量と価格などの情報を提示した上でお客様へご意見を伺います。
「あなたはこの商品を買いたいと思いますか?」
「なぜ買いたい/買いたくないのですか?」
お客様のご意見を活かしながら再度商品をブラッシュアップしていきます。
プロモーション戦略立案
各部署と連携し、より商品が売れるプランを考えていきます。
・営業
商品のコンセプト、ターゲット、競合と比較してより優れている点などを説明し、販売戦略を立案します。
・広告
どの媒体(TVCM/Web/交通広告など)を使用してプロモーションをしていくか、どのようなタレントを起用するかなどを決定します。
・広報
報道関係者の方に取り上げていただけるような魅力的なニュースリリースの作成を行います。
※ニュースリリースとは会社が報道関係者向けに発信する自社の新製品や新サービス、イベント開催などの最新の情報を提供する資料のことです。
このようにマーケターはさまざまな部署と連携し、商品化に向けた流れを組み立てる司令塔のような役割を担っています。
さて、ここまできたらもうあとは商品化の会議に向けて走るだけです。
私の会社の場合は役員に向けてプレゼンし、承認を得たら実際に商品化され、やっと店頭に商品が並びます。
いつも会議前はお腹が痛くなっていました(笑)
開発ウラ話
実際の新商品開発はこんな順番通りにスムーズにいかないことが多いです(笑)
製造ラインにのせてみたら全く商品が製造できないことがあったり、消費者モニター調査で散々な結果になり開発がほぼふりだしに戻ることだってあります。
そしてさまざまな部署を巻き込みながら、その中心で指示を出し続けるのは容易なことではありません。
しかし、マーケターの意見がころころ変わってしまうと商品開発は絶対にうまくいきません!
そういった意味ではマーケターに必要なスキルは「絶対にこの商品を世に出す!」というブレない信念ということになるのかもしれませんね。
まぁもちろん、柔軟さも忘れてはいけませんが。
さいごに
いかがでしたか?
今回はメーカーの具体的な新商品開発のプロセスについて説明しました。
市場分析から始まって、実に多くのプロセスを経て、ようやく商品が店頭に並ぶことになります。
マーケターはさまざまな部署と連携し、商品開発の流れを組み立てる司令塔のような役割を担っています。
マーケターはブレない信念と柔軟性をバランスよく兼ね備えていなくてはなりません。
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最後までお読みいただきありがとございました。