こんにちは。misato です。
私は採用担当の経験があり、今でもリクルーターとして活動している大手メーカー勤務の社員です。
元採用担当者の経験上、やはり企業研究を熱心にやっていただけた方の志望動機、この会社で実現したいことにはグッと心を掴まれます。
その方が活躍するイメージもつきやすく、一緒に働いてみたいと思えるからです。
つまり企業研究を制する者は合格への可能性が一段高くなります!
企業研究のやり方について詳しく書いていますのでよかったらこちらも参考にしてください。
こちらでは採用担当者の視点で企業研究をしてわかったその会社のポイントを書いています。
今回は「株式会社ライオン(以下、ライオン)」の企業研究です。
ライオンへ就職、転職をご検討中のみなさんの参考になれば幸いです。
基本情報
まずはライオンの基本情報です。
社名 | ライオン株式会社 |
創業 | 1891年 |
本社所在地 | 東京都墨田区本所1丁目3番7号 |
従業員数(単体) | 2,850名 |
平均年齢 | 43.5歳 |
平均勤続年数 | 17.7年 |
平均年収 | 706万円 |
(2019年12月時点の情報です)
ライオンの創業当時は日本では歯みがき習慣が浸透しておらず、子どもたちの大半がむし歯という時代でした。
ライオンの創業者 小林富次郎が「このままではむし歯で日本が滅びてしまう」という強い危機感を抱いたことで、口腔衛生普及活動が始まりこれがライオンの原点になっています。
業績推移
ライオンの直近5年間の業績推移についてみていきましょう。
売上高
※ライオンは2017年度からIFRSを導入。
2016年度以前は日本基準での開示数値。
売上高に関してはこの3年間でみると3,400億円台で安定していることがわかりますね。
直近通期決算における売上高の前年比は99%と微減収です。
IFRS導入後の3年間の売上高伸長率は101%とこちらは微増収です。
営業利益
営業利益に関しては2018年度まで右肩上がりに伸ばしていました。
しかし、直近通期決算における営業利益の前年比は87%と不調です。
IFRS導入後のこの3年間の利益の伸長率は98%と不調です。
営業利益率は8.6%と、トイレタリー業界の競合で比較すると、花王(14.1%)と比較するとやや低いですね。
事業内容
まずはざっくり、どういう事業がどういう規模を占めているかみていきましょう。
最大の売上高は一般用消費財事業で、2位以下は海外事業、産業用品事業とつづきます。
つづいて利益も確認しましょう。
※利益調整額は除いて算出しています。
※事業利益(売上総利益-販管費)の構成比です。
最も利益を生み出しているのはこちらも一般用消費財事業、2位以下も同様、海外事業、産業用品事業とつづきます。
売上高と事業利益で順位の変動はなく、売上の構成比が高い主力事業がしっかりと利益を生み出しているということがわかります。
改めて売上高、事業利益、事業利益率の一覧です。
売上 | 事業利益 | 事業利益率 | |
一般用消費財事業 | 2,194億円 | 196億円 | 8.9% |
産業用品事業 | 330億円 | 18億円 | 5.3% |
海外事業 | 917億円 | 76億円 | 8.2% |
その他事業 | 34億円 | 15億円 | 44.4% |
(ホームページをもとに作成)
売上の構成比は高くないのですが、事業利益率でみるとその他事業が最も高く、44.4%となっています。
その他事業には下記連結子会社の売上・利益が含まれています。
・イオンエンジニアリング株式会社
設備の設計、施工、保全業務
・ライオン流通サービス株式会社
等の商品・製品の運送、保管業務
・ライオンビジネスサービス株式会社
不動産・保険関係業務及び福利厚生業務
・最も売上の貢献が高いのは一般用消費財事業
・最も利益の貢献が高いのも一般用消費財事業
・最も利益率の貢献が高いのはその他事業
一般用消費財事業が揺るぎない事業の柱ということですね。
これらのポイントを頭に入れた上で、事業の詳細について確認していきましょう。
一般用消費財事業
一般用消費財事業には衣料用洗剤やオーラルケア、ビューティケアなどの売上が含まれます。
代表商品は下記の通りです。
「クリニカ」 歯みがき粉
「キレイキレイ」 ハンドソープ
「トップ」 洗濯用洗剤
「Magica(マジカ)」 食器用洗剤
「バファリン」 解熱鎮痛剤
ライオンはオーラルケアシェアNo.1メーカーです。
その他に「NONIO」や「システマ」などもライオンのブランドです。
最近では「オフィスでの昼歯みがき」を訴求し、新たなシーンの提案として携帯用歯ブラシMIGACOT(ミガコット)の発売なども行っています。
最も売上高も利益も高い、ライオンの主柱事業ですね。
一般用消費財の内訳もみておきましょう。
最も売上高の構成比が高いのはオーラルケア、2位以下にファブリックケア、その他とつづきます。
ファブリックケアとは洗濯用洗剤、柔軟剤などの売上が含まれます。
代表商品は先ほど触れた「トップ」はもちろんですが、「アクロン」や「ソフラン」などが挙げられます。
その他には通信販売商品やペット用品などの売上が含まれます。
産業用品事業
産業用品事業には下記の売上が含まれています。
・自動車分野:タイヤの防着剤など
・電気・電子分野:2次電池向け導電性カーボンなど
・業務用洗浄剤分野:施設・厨房向け洗浄剤など
海外事業
ライオンの海外事業をみていきましょう。
エリア別の構成比はこちらです。
最も売上の構成比の高いエリアは北東アジアで、東南アジアとつづきます。
海外子会社に獅王日用化工(青島)有限公司や獅王企業(シンガポール)有限公司などがあります。
直近の海外事業における事業買収やトピックは下記の通りです。
・2016年7月
ピアレスライオン株式会社(フィリピン)の全株式をピアレス社に譲渡し、合弁契約を解消。
・2018年6月
ウィルマー社と共同出資でグローバル・エコケミカルズ・シンガポール株式会社を設立。
海外売上高比率は26%です。
ライオンの強み
私が考えるライオンの強みは下記2点です。
オーラルケアのトップシェア
ライオンはオーラルケアの分野でトップシェアの企業です。
むし歯予防「クリニカ」
歯周病予防「システマ」
口臭ケア「NONIO」
それぞれの年代、それぞれのニーズに合わせた高付加価値商品の展開を行っています。
海外におけるオーラルケア習慣の定着
海外における口腔衛生の知識や意識は各エリアごとに異なります。
ライオンは「予防歯科」をコンセプトに各エリアでオーラルケアの啓蒙活動を行っています。
日本製品の信頼感、ブランド力により今後海外事業の成長が期待できます。
ライオンの中長期戦略
ライオンの今後の経営方針を有価証券報告書の【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】やホームページから抜粋しています。
会社の目指す方向性を理解した上で、自分の能力・実現したいことをからめて説明できるようになると面接は必ずうまくいきます。
次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ
ライオンは2030年に向けて次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへという将来像を描いています。
そのために国内・海外において将来を見据えた成長のための取組みや体制整備を進めるとともに、経営効率の向上をさらに加速させ、収益体質の強化を目指しています。
新価値創造による事業の拡張・進化
ライオンはオーラルケア分野のマーケットリーダーとして、高付加価値商品を強化していくことで市場全体の活性化を目指しています。
また先端テクノロジーを活用した新たなビジネスへの挑戦として、新規事業化のスピードアップにも取り組んでいます。
オープンイノベーションによる開発やクラウドファンディングによる事業化を積極的に行い、異業種を集めた共同開発などにも着手しています。
さいごに
いかがでしたか?
ライオンの事業内容や強み、今後の戦略について研究しました。
個人的な就職・転職おすすめ度は
★★★★☆
・オーラルケア分野のトップシェアメーカー。
・積極的な高付加価値商品の導入と新規事業の創出。
・オーラルケアの定着による海外事業の拡大に期待。
それではライオンの強み×自分の強みをうまくアピールしてみてくださいね!
応援しています!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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